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資金繰りと財務管理

資金繰り表とは?作成目的・基本項目・Excelでの作り方を解説

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
資金繰り表とは?作成目的・基本項目・Excelでの作り方を解説
黒字なのに資金が足りない。私が銀行員時代、そんな相談を持ち込む経営者を何人も見てきました。資金繰り表は「いつ・いくらお金が足りなくなるか」を先回りで把握する地図です。作れば、倒産リスクも融資交渉も一気に楽になります。
  • 資金繰り表とは、現金の入りと出を時系列で並べて将来の残高を予測する表です。
  • 利益(損益)とお金(現金)は一致しないため、黒字倒産を防ぐには資金繰り表が必要です。
  • Excelで作れるので、専用ソフトを買わなくても費用は実質ゼロから始められます。
  • 作成には月次試算表・現金出納帳・預金出納帳の3点があれば足ります。
  • 項目は経常収支・非経常収支・財務収支の3つに分けると整理しやすくなります。

資金繰り表の結論

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資金繰り表とは、現金の入りと出を月ごとに並べ、月末にいくら手元に残るかを予測する一覧表です。

損益計算書は「儲かったか」を見る書類。資金繰り表は「現金が回るか」を見る書類です。ここがまったく別物だと気づかないと、足元をすくわれます。

私が現場で繰り返し言ってきたのは、利益と現金は時間差で動くということ。売上が立っても入金は翌月、仕入れの支払いは今月、ということが普通に起きます。

黒字でも現金が尽きれば会社は倒れます。資金繰り表は、その「現金が尽きる日」を事前に見つけるための道具です。

資金繰り表とは

資金繰り表とは、一定期間の現金の収入と支出をまとめ、期末の現金残高を見える化した表です。

資金繰り表とは

勘定科目を細かく追う会計の話ではありません。実際に通帳から出ていくお金、入ってくるお金だけを追います。シンプルです。

資金繰り表を作成する目的とメリット

資金繰り表を作る最大の目的は、将来の資金ショート(現金が足りなくなる事態)を事前に察知することです。

資金繰り表を作成する目的とメリット

目的をもう少し具体的に書きます。これは私が融資審査の現場で「ある会社」と「ない会社」の差をずっと見てきた実感です。

キャッシュフロー計算書との違い

【有料級】知識ゼロからわかる資金繰り表の作り方徹底解説(無料テンプレート付き)
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両者の違いは、資金繰り表が未来予測の道具、キャッシュフロー計算書が過去実績の報告書という点にあります。

キャッシュフロー計算書は決算で作る過去の集計。資金繰り表は来月・再来月を見るための予測です。中小企業が日々の経営判断で使うなら、私は資金繰り表を勧めます。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い
項目資金繰り表キャッシュフロー計算書
主な目的将来の資金予測過去の現金増減の報告
作成義務任意上場企業は開示義務あり
対象期間主に未来(月次・週次)過去の会計期間
使う場面日々の経営判断・融資交渉決算・投資家への報告

作成のメリット

資金繰り表があると、黒字倒産の回避・資金不足の原因特定・経営判断・融資交渉の4つで効きます。

順に説明します。ここは厚めに書きます。一番伝えたいところなので。

黒字倒産を未然に防ぐ。利益が出ていても、入金より支払いが先に来れば現金は減ります。資金繰り表で先々の残高がマイナスになる月を見つければ、手を打つ時間が稼げます。

資金不足の原因を特定しやすくなる。在庫を抱えすぎているのか、売掛金の回収が遅いのか。項目別に並べると、どこで現金が詰まっているかが目で見えます。

適切な経営判断の材料になる。設備投資や採用のタイミングを、感覚ではなく残高見込みで決められます。

金融機関から融資を受けやすくなる。正直に言うと、これは銀行員側の本音です。資金繰り表を出せる会社は「自社の状況を把握している」と評価されます。逆に出せない会社は、それだけで警戒されました。

融資交渉で資金繰り表を出せるかどうかは、審査担当の印象を大きく左右します。資金使途と返済原資が一目で伝わるからです。

資金繰り表を作成するために必要な資料

資金繰り表を作るのに必要な資料は、月次試算表・現金出納帳・預金出納帳の3点です。

資金繰り表を作成するために必要な資料

特別な書類は要りません。日々の経理でそろっているものばかりです。

資金繰り表の作成に必要な3つの資料
資料役割ここを見る
月次試算表月ごとの収支の全体像売上・仕入・経費の月次推移
現金出納帳手元現金の動き現金での入出金記録
預金出納帳口座の動き入金日・引落日・残高

資金繰り表の基本的な項目

【完全保存版】学校では教えてくれない「資金繰り表の作り方」初心者がやりがちな注意点も解説
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資金繰り表は、経常収支・非経常収支・財務収支の3区分で組み立てます。

この3つに分けるのが肝心です。一緒くたにすると、本業で稼げているのか借金で回しているのかが見えなくなります。

資金繰り表の3つの基本区分
区分内容具体例
経常収支本業の通常の収支売上入金、仕入・人件費・家賃の支払い
非経常収支臨時の収支設備の購入・売却、保険金など
財務収支資金調達と返済借入による入金、借入金の返済

見るべき順番は、まず経常収支。ここがプラスなら本業で現金を稼げています。マイナスが続くなら、財務収支(借入)で穴埋めしている危険な状態です。

Excelでの資金繰り表の作り方・手順

Excelでの資金繰り表は、書類準備・フォーマット作成・実績入力・予測入力・翌月繰越算出の5ステップで作れます。

Excelでの資金繰り表の作り方・手順

専用ソフトは不要です。私が支援先に最初に勧めるのも、いつもExcelです。

ステップ1:必要書類を準備する。前述の月次試算表・現金出納帳・預金出納帳を手元に並べます。数字の出どころを最初にそろえるのが大事です。

ステップ2:フォーマットを作成する。縦に項目(経常・非経常・財務の各収支)、横に月を並べます。一番上に前月繰越、一番下に翌月繰越を置く形が見やすいです。

ステップ3:実績数値を入力する。すでに確定した月の入出金を、通帳と出納帳を見ながら埋めます。ここは推測を入れず、事実だけ。

ステップ4:予測数値を入力する。来月以降の入金見込み・支払い予定を入れます。売掛金の回収サイト、給与日、家賃の引落日を思い出しながら埋めていきます。

ステップ5:翌月繰越を算出する。「前月繰越+当月収入−当月支出」で月末残高を計算します。これが翌月の前月繰越にそのまま入ります。

計算式は「前月繰越+当月収入−当月支出=翌月繰越」。この一本だけ覚えれば資金繰り表は回ります。

資金繰り表の作成効果を高めるためのポイント

効果を高めるコツは、条件付き書式での色分け・複数パターンのシミュレーション・KPIの設定の3つです。

資金繰り表の作成効果を高めるためのポイント

条件付き書式で自動的にセル色を変える。残高が一定額を下回ったら赤くなる設定にしておくと、危険な月がひと目で分かります。毎月の見落としが減ります。

複数パターンのシミュレーションを行う。売上が想定どおりの場合、2割落ちた場合、大口の入金が遅れた場合。最低でもこの3パターンは作っておくと、いざという時に慌てません。

異常を早期に察知できるKPIを策定しておく。たとえば「月末残高が月商の1か月分を切ったら借入を検討」と決めておく。基準があると判断が速くなります。

正直に言うと、ここまでやる中小企業は多くありません。だからこそ、やった会社は資金繰りで困りにくい。差がつくところです。

よくある質問

【完全解説|これ1本で資金繰り表は完璧】資金繰り表の作り方と管理手順/金融機関の審査を円滑にする方法/どれくらいの時間を資金繰りに使うべきか
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資金繰り表について、相談の現場でよく聞かれる質問にまとめて答えます。

よくある質問

資金繰り表とは?
現金の収入と支出を月ごとに並べ、月末にいくら手元に残るかを予測する表です。利益を見る損益計算書とは別物で、現金が回るかどうかを見るために使います。
資金繰り表の費用は?
Excelで自作すれば、追加の費用はかかりません。すでに使っている表計算ソフトと、月次試算表・現金出納帳・預金出納帳があれば始められます。専用ソフトを導入する場合のみ、その利用料がかかります。
資金繰り表の始め方は?
まず月次試算表・現金出納帳・預金出納帳を用意します。次にExcelで縦に項目、横に月を並べたフォーマットを作り、確定済みの実績を入力。その後に来月以降の入金・支払い予定を埋め、月末残高を計算すれば最初の1枚が完成します。

最初の1枚は粗くてかまいません。私の経験上、完璧を目指して止まるより、ざっくりでも作って毎月更新する会社のほうが、結局うまく資金を回しています。今月分から手を動かしてみてください。

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梶原 誠一

元地方銀行の法人融資担当(8年) ・ 中小企業診断士

中小企業の財務支援に10年以上携わった経験をもとに、融資制度や資金調達の実務を一次情報に基づいて解説します。現場で見てきたリアルな審査の実態や手続きの落とし穴を、経営者目線でわかりやすく伝えることを大切にしています。

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