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創業・審査対策

赤字融資が通るコツ|審査で有利になる4つのケースと注意点

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
赤字融資が通るコツ|審査で有利になる4つのケースと注意点
赤字だと融資はもう無理なのか――そう諦めかけている経営者の方へ。結論から言えば、赤字決算でも融資は受けられます。ただし審査では確実に不利になり、通すには「赤字の質」を説明できるかどうかが分かれ目になります。
  • 赤字決算でも融資は受けられるが、審査では不利になる。
  • 通る赤字は『創業赤字』『戦略的な赤字』『一過性の赤字』『黒字化見込みのある赤字』の4つ。
  • 3期連続の赤字や債務超過を伴う赤字は、融資の難易度が一気に上がる。
  • 通るコツは、赤字の原因分析と実現可能な経営改善計画を数字で示すこと。
  • 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付や資本性ローンは、赤字でも使える制度。

赤字 融資 通るコツの結論

実は決算書のココを見るだけで銀行から融資されるかどうかわかります!融資を考えている方は必ず知って下さい!
実は決算書のココを見るだけで銀行から融資されるかどうかわかります!融資を考えている方は必ず知って下さい!

赤字で融資を通すコツは、『この赤字には理由があり、来期は改善する』と数字で証明することに尽きます。

私は元地方銀行の法人融資担当として8年、その後も中小企業の財務支援に10年以上携わってきました。その経験から言うと、銀行が嫌うのは『赤字』そのものではなく『説明できない赤字』です。

赤字でも、原因が明確で、改善の道筋が見えていれば、融資担当者は社内で稟議を通しやすくなる。逆に、なぜ赤字なのか経営者自身が答えられないと、その時点でほぼ終わりです。

赤字の事実は変えられませんが、『赤字の説明の仕方』は変えられます。ここが融資成否の最大の分岐点です。

【結論】赤字決算でも融資は受けられる。しかし、審査では確実に不利になる

赤字決算でも融資は受けられますが、黒字企業と比べて審査のハードルは確実に上がります。

【結論】赤字決算でも融資は受けられる。しかし、審査では確実に不利になる

理由はシンプルで、金融機関は『貸したお金が返ってくるか』を見ているからです。赤字は返済原資である利益が出ていないことを意味するので、当然マイナス評価になる。

ただ、銀行は決算書1枚だけで判断しているわけではありません。私が現場にいた頃も、赤字でも資金繰りの実態や経営者の説明次第で稟議を通したケースは何度もありました。

大事なのは、不利な状態を自覚したうえで、それを補う材料をこちらから用意していくことです。

赤字の「質」が重要!赤字決算でも融資を受けられる「4つのケース」

融資が受けられる赤字には、共通して『前向きに説明できる理由』があります。

同じ赤字でも、銀行から見て『仕方ない』『むしろ将来につながる』と評価される赤字があります。代表的なのが次の4つです。

融資を受けやすい赤字の4ケース
ケース内容銀行の見方
創業赤字開業直後で売上が立ち切っていない立ち上げ期なら想定内
ポジティブな赤字設備投資・人材投資による先行赤字将来の利益への布石
一過性の赤字災害・特別損失など一時的な要因来期は解消する見込み
黒字化見込みの赤字計画に沿って改善が進んでいる返済原資の回復が見える

逆に言えば、この4つのどれにも当てはめられない赤字は、説明が難しくなります。

ケース1. 創業赤字

【経営者必見】赤字の会社こそこの融資を絶対に使った方がいい!銀行評価が上がる最強の融資制度を徹底解説します!
【経営者必見】赤字の会社こそこの融資を絶対に使った方がいい!銀行評価が上がる最強の融資制度を徹底解説します!

創業赤字は、開業直後の売上が育ちきっていない時期の赤字で、融資審査では最も理解されやすい赤字です。

飲食店でも製造業でも、開業1〜2期目は初期投資が重く、売上が軌道に乗る前に赤字になるのが普通です。銀行もそれは分かっている。

だからこそ、創業時は決算の赤字より『事業計画通りに進んでいるか』を見られます。計画より大きく外れていなければ、追加融資の話は十分できます。

ケース2. ポジティブな赤字(投資性・戦略的赤字)

ポジティブな赤字とは、設備や人材への先行投資が原因で一時的に利益が出ていない、将来の成長を見込んだ赤字です。

ケース2. ポジティブな赤字(投資性・戦略的赤字)

例えば、新工場の減価償却が重くのしかかった年。あるいは、来期の受注増に備えて人を先に採用した年。こうした赤字は『前向きな赤字』として説明できます。

ただし注意したいのは、本当に投資が売上につながるのかを数字で示せないと、ただの過剰投資に見えてしまう点です。投資と回収の見通しはセットで用意してください。

ケース3. 一時的な損失による赤字(一過性の赤字)

一過性の赤字とは、災害・取引先倒産・特別損失など、その年だけの一時的な要因で発生した赤字です。

本業はしっかり利益が出ているのに、特別損失で最終赤字になった――こういうケースは、損益計算書の中身を分解して見せるのが効きます。

営業利益は黒字なのに当期純損益だけ赤字、という構造なら、それを資料で明示する。私が担当だった頃も、ここを丁寧に説明してくれる経営者の案件は通しやすかったです。

ケース4. 黒字化の見込みがある赤字

赤字決算でも銀行融資審査を通す方法と考え方 銀行内部格付基準と対策
赤字決算でも銀行融資審査を通す方法と考え方 銀行内部格付基準と対策

黒字化の見込みがある赤字とは、改善計画に沿って業績が回復し、近い将来に黒字転換する道筋が見えている赤字です。

赤字の額が前期より縮小している、月次でみると直近は黒字に転じている。こうした『改善のトレンド』は、決算書の数字以上に説得力を持ちます。

月次試算表を持参して、回復の流れを時系列で見せる。これだけで担当者の心証は大きく変わります。

赤字決算で融資の難易度が高い「5つのケース」

融資が難しくなる赤字には、『返せる見込みが立たない』という共通点があります。

赤字決算で融資の難易度が高い「5つのケース」

以下の5つに当てはまると、通常の融資はかなり厳しくなります。正直に言うと、特に債務超過と慢性赤字が重なると、私でも打つ手が限られます。

融資の難易度が高い赤字の5ケース
ケースなぜ厳しいか
3期以上の慢性赤字構造的に稼げていないと見なされる
私的流用による赤字経営者の資質そのものを疑われる
債務超過を伴う赤字返済能力に根本的な不安がある
経営改善計画がない改善の意思も道筋も示せない
返済余力がない返済原資が確保できない

これらは『赤字の質が悪い』状態。次の章から代表的なものを掘り下げます。

ケース1. 3期以上連続している慢性的な赤字

3期以上連続の赤字は、一時的な不調ではなく構造的に稼げていないと判断され、最も融資が通りにくい状態です。

1期や2期の赤字なら『今期は事情があった』で済みますが、3期続くと『この会社のビジネスモデル自体が利益を生まない』と見られてしまう。

この状態で必要なのは、過去の言い訳ではなく『何をどう変えるか』の具体策です。コスト構造の見直しや不採算事業の撤退など、数字で語れる改善策を用意するしかありません。

ケース2. 利益の私的流用による赤字

【起業家必見】独立初期の借入は日本政策金融公庫1択です。今すぐ借りるべき理由を公認会計士が解説します。
【起業家必見】独立初期の借入は日本政策金融公庫1択です。今すぐ借りるべき理由を公認会計士が解説します。

経営者個人の支出を会社の経費に付け替えた結果の赤字は、財務の数字以前に経営者への信頼を失う最も致命的なケースです。

過大な役員報酬、私的な交際費、家族への不明瞭な給与。決算書を見れば、こうした不自然な支出は融資担当者にはすぐ分かります。

はっきり言って、これは赤字の中で一番たちが悪い。改善計画を出しても『また流用するのでは』という疑念が拭えないからです。心当たりがあるなら、まず経費の正常化から着手してください。

ケース3. 債務超過が伴う赤字

債務超過とは、負債が資産を上回り、純資産がマイナスになっている状態で、赤字と重なると返済能力への不安が決定的になります。

ケース3. 債務超過が伴う赤字

赤字が続いて自己資本を食いつぶした結果が債務超過です。銀行から見れば『万一倒産したら回収できない』ことを意味する。

この場合、通常の融資より、日本政策金融公庫の資本性ローン(劣後ローン)のように自己資本とみなせる制度の活用を検討したほうが現実的です。次の章で触れる融資以外の調達手段も含めて、選択肢を広げる必要があります。

債務超過の解消には、増資・役員借入金の資本化・資本性ローンの活用といった手段があります。通常融資にこだわらず、財務の専門家に相談するのが近道です。

なお、赤字決算でも使える代表的な制度として、日本政策金融公庫の『経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)』や『挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)』があります。

民間金融機関なら、不動産担保融資や売掛金・在庫を担保にする流動資産担保融資(ABL)も赤字企業の選択肢になります。融資以外では、ビジネスローン、ファクタリング、資産売却、セール&リースバック、クラウドファンディング、請求書カード払いなどが資金繰りの逃げ道です。

制度の詳細や融資条件は変更されることがあるため、利用前に必ず公庫の公式サイトで最新情報を確認してください。

よくある質問

赤字融資について、相談現場でよく聞かれる質問をまとめました。

よくある質問

赤字 融資 通るコツとは?
最大のコツは、赤字の原因を分析して『なぜ赤字なのか』『来期どう改善するか』を数字で示すことです。創業赤字・投資による赤字・一過性の赤字・黒字化見込みのある赤字は説明しやすく、経営改善計画書と資金繰り表をそろえて将来性をアピールすれば、赤字でも融資は通ります。
赤字 融資 通るコツの費用は?
融資を申し込むこと自体に費用はかかりません。ただし不動産担保融資では抵当権設定の登記費用、ビジネスローンやファクタリングでは手数料・利息が発生します。経営改善計画書の作成を税理士や中小企業診断士などの財務の専門家に依頼する場合は、別途その報酬がかかります。
赤字 融資 通るコツの始め方は?
まずは金融機関への事前相談から始めます。流れは『事前相談→融資の申込み→審査→融資の決定・契約』です。申込み前に、赤字の原因を整理し、経営改善計画書・事業計画書・資金繰り表を準備しておくと審査がスムーズに進みます。

最後にひとつだけ。調達した資金を赤字の穴埋めに使うのは絶対に避けてください。それは延命にしかならず、次の決算でまた苦しくなります。

税金や社会保険料の滞納も、融資審査では大きなマイナスです。そして業績が悪くても、決して嘘はつかないこと。バレた時点で、その金融機関との関係は終わります。まずは自社の赤字がどのタイプかを見極めるところから始めてみてください。

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梶原 誠一

元地方銀行の法人融資担当(8年) ・ 中小企業診断士

中小企業の財務支援に10年以上携わった経験をもとに、融資制度や資金調達の実務を一次情報に基づいて解説します。現場で見てきたリアルな審査の実態や手続きの落とし穴を、経営者目線でわかりやすく伝えることを大切にしています。

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